インターネットが普及した現代では、SNSや掲示板でのトラブルが増えています。
誹謗中傷やプライバシーの侵害を受けた場合、被害者は開示請求という手続きを通じて、加害者の情報を特定し、責任を追及することができます。
この投稿では、開示請求に関する疑問を解消し、必要な知識を分かりやすく解説します。
開示請求とは?
開示請求とは、インターネット上で発信された情報の発信者を特定するために、プロバイダやSNS運営会社に対して発信者情報の開示を求める手続きです。
この手続きを通じて、匿名の加害者を特定し、法的責任を追及できるようにします。
開示請求をわかりやすく例えると・・・
開示請求をわかりやすく例えるなら、こう考えてみてください
「匿名で悪口を書かれた犯人を探し出す探偵の依頼」
1. SNSで悪口を書かれたとする
例えば、SNSや掲示板で「○○は悪いやつだ」と名前を出されて悪口を書かれました。でも、書いた人は「匿名」で正体がわかりません。
2. 探偵を雇うイメージ
「犯人を突き止めたい!」と思ったら、まずプロバイダ(インターネット会社)やSNS運営会社に「誰が書いたか教えて!」と依頼します。
これが開示請求にあたります。
3. 探偵も手がかりが必要
プロバイダやSNS運営会社には、「これが証拠です!」と、悪口が書かれた投稿や被害内容を証明する必要があります(具体的なURLや内容)。
4. 情報を渡すまでには許可が必要
「証拠を見せて!」と言われても、探偵(=プロバイダ)はすぐには情報を渡しません。
裁判所に「この依頼は正当だ」という許可をもらってからでないと犯人の情報を出してくれません。
5. 情報が手に入ると犯人を特定できる
許可が下りて、探偵から住所や名前のヒント(IPアドレスなど)をもらえれば、犯人が特定できます。
まとめ 探偵ストーリーに例えるとこうなる
• 悪口を書かれる → 被害に遭う
• 探偵に依頼 → 開示請求をする
• 裁判所に許可を取る → 証拠を用意する
• 犯人の手がかりを教えてもらう → 情報が開示される
さらに簡単な例え
「誰かにいたずらされた!警察に行って防犯カメラを調べてもらう」
これに近い感覚です。防犯カメラがSNSの運営会社やプロバイダだと思えば、イメージしやすいはずです。
開示請求をしたら何がわかる?
開示請求を行うことで、以下のような情報が判明します
• IPアドレス(発信元のインターネット接続情報)
• 接続日時
• 発信者の氏名、住所、電話番号など(プロバイダを経由して判明)
これらの情報を元に、加害者を特定し、損害賠償請求や刑事告訴が可能になります。
開示されるまでどのくらいの期間がかかる?
通常、開示請求には以下の段階があり、それぞれ一定の期間を要します
1. 任意開示請求(1~2週間程度)
プロバイダに任意での開示を求めますが、拒否されるケースが多いです。
2. 裁判所への仮処分申立て(1~3ヶ月)
開示を命じる仮処分決定を裁判所から得ます。
3. 開示実行(1~2週間)
プロバイダが情報を開示するまで。
全体で3~6ヶ月程度かかることが一般的です。
費用の相場は?
開示請求にかかる費用は以下の通りです:
• 弁護士費用:10~30万円(事案の複雑さによる)
• 仮処分申立ての費用(裁判所手数料):1,000~3,000円程度
• 書類作成費用や郵送費:数千円
全体で15~40万円程度が目安です。
掛かった費用は取り戻せる?
開示請求にかかった費用は、加害者に対して損害賠償請求をする際に請求可能です。
ただし、すべてが認められるわけではなく、裁判所が「相当」と判断した範囲内でしか回収できません。
判明した相手の情報を晒すのは違法?
開示請求で得た相手の個人情報を公開することは、プライバシーの侵害や名誉毀損に該当する可能性があります。
そのため、相手の情報をインターネット上に公開することは違法です。
適切な対応は、得た情報を基に損害賠償請求や刑事告訴を行うことです。
開示請求が通らないパターンとは?
以下のような場合、開示請求が認められないことがあります
• 投稿が誹謗中傷やプライバシー侵害に該当しない場合
• 投稿があまりに軽微で社会的評価を低下させる恐れがない場合
• 投稿の時点から長期間が経過し、ログが保存されていない場合
• プロバイダ側が「情報開示請求に応じる法的義務がない」と判断した場合
慰謝料の相場は?
誹謗中傷やプライバシー侵害に対する慰謝料の相場は、事案の内容や被害の程度によります。
• 軽微な誹謗中傷:10~50万円程度
• 深刻な誹謗中傷(名誉毀損や社会的影響が大きい場合):50~300万円程度
• プライバシー侵害:10~100万円程度
裁判所が認定する慰謝料額は、被害者の社会的地位や被害の程度によって変動します。
X(旧Twitter)での開示請求の手順は?
1. 投稿内容を保存する
• 証拠確保が最優先です。対象となる投稿が削除される可能性があるため、以下の情報を保存します。
• 投稿のスクリーンショット(投稿日時、ユーザー名、アカウントIDが分かるもの)
• 投稿のURL(例: https://x.com/username/status/1234567890)
• 投稿が行われた日時
2. X社(旧Twitter社)にIPアドレスなどの開示を請求
1. 任意開示請求(任意の情報提供依頼)
• X社に直接、対象投稿に関する発信者情報(IPアドレス、タイムスタンプなど)の開示を依頼します。
X(旧Twitter)での開示請求を行う際、公式の申請フォームや専用のURLは提供されていません。そのため、開示請求は主に法的手続きを通じて行われます
2. 仮処分命令の申立て
• 任意開示が難しいため、裁判所に仮処分命令を申立て、X社に対して発信者情報の開示を命じる決定を取得します。
3. プロバイダに対して情報開示請求
• X社から開示された情報(IPアドレスとタイムスタンプ)を基に、インターネットプロバイダ(通信事業者)を特定します。
• プロバイダに対して、裁判所を通じて発信者の氏名や住所などの個人情報を開示するよう請求します。
4. 発信者の特定と損害賠償請求
• プロバイダから得た情報で発信者が特定できたら、損害賠償請求や刑事告訴などの法的手続きを行います。
※注意点
1. 弁護士の協力が必須
• 手続きが複雑で、また、公式の申請フォームが用意されていませんので、仮処分申立てや情報開示請求には法的専門知識が必要です。
2. 費用がかかる
• 仮処分手続きや弁護士費用などで、20~50万円程度の費用がかかる場合があります。
3. 時間がかかる
• 全体で3~6ヶ月程度を見込む必要があります。
まとめ
Xでの開示請求は、まず投稿を保存し、裁判所を通じてX社とプロバイダから情報を取得する手続きが必要です。専門知識が求められるため、弁護士に相談することをおすすめします。(出典元)
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まとめ
開示請求は、インターネット上での誹謗中傷やプライバシー侵害に対処する有効な手段です。
しかし、手続きには時間や費用がかかり、すべてのケースで認められるわけではありません。
また、得た情報を適切に扱い、法的に正当な方法で対応する必要があります。
困ったときは、弁護士に相談し、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。
適切な知識を持って、インターネット上のトラブルに冷静に対処しましょう。
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